映画『テルマエ・ロマエ』 古代ローマの技師はすごい能力の持ち主
- Dancing Shigeko
- 2021年7月4日
- 読了時間: 5分
更新日:2024年10月11日
こんにちは、Dancing Shigekoです!
今回は映画”テルマエ・ロマエ”を紹介します!
[基本情報]
監督:武内英樹
脚本:武藤将吾
原作:ヤマザキマリ
制作会社:「テルマエ・ロマエ」製作委員会
配給:東宝
制作年:2012年
上映時間:108分
[登場人物]
ルシウス:阿部寛
古代ローマ帝国の浴場(テルマエ)の設計技師。
山越真実:上戸彩
派遣社員の仕事をしながら、漫画家を目指す。
ハドリアヌス:市村正親
第14代ローマ皇帝
ケイオニウス:北村一輝
次期皇帝候補。女癖が悪く、すぐに女性に手を出す。
アントニヌス:宍戸開
皇帝の側近。
[内容]
古代ローマ帝国のテルマエ技師 ルシウスは、新しい仕事を取れず苦しい状況だった。ローマ人に取って憩いの場であるはずのテルマエが、賑やかな騒ぎの場になっていた。ルシウスは悲嘆し、湯の中で意識を研ぎ澄ましていると、浴場に空いた穴に気づき、様子を見に行った。ところが足を滑らせて、そのまま穴の中に吸い込まれ、気がつくと見たことのない人類が待ち受けていた。そこは現代の日本の銭湯。ルシウスは見るもの全てが発見。フルーツ牛乳を飲んで感動する。
気づくと再び古代ローマにいた。夢を見ていたのだと思ったが手にはフルーツ牛乳の瓶が握り締められていた。ルシウスは自分の見たものを再現して、テルマエ技師として成功を収める。しかしあくなき探究心でテルマエの向上を意識し続けるルシウス。再び日本にタイムスリップして未知の浴室文化に触れるのだった。
[感想]
古代ローマ人が現代日本にタイムスリップ。そこでの体験を活かして、古代ローマで成功を収めていくサクセスストーリーのようなコメディ。
・見せ方が面白い
古代ローマを舞台にしている時は、登場人物全員が日本語を話している。見るからに外国人までもが日本語を話している。吹き替えなのに上手に日本語になっているから面白い。
現在の日本にルシウスが現れると、今度はルシウスの周りにいる人々が日本語で話しかけている。しかし、ルシウスはその言葉の意味が分からない。分からないことを心の声で描写する。その心の声が日本語だから、何を考えているのかははっきりと伝わってくる。そして、言葉を発するとラテン語+字幕という見せ方。上手に見せるって感じた。二つの言語をどちらも日本語で描写するという手法が印象的。
また役者の人選が興味深い。ルシウスが日本に現れたときに”なんだ、この平たい顔の奴隷たちは”と思う。ローマ人=彫りが深い、日本人=平たい顔という世界観で設定されている。その設定の中で登場するローマ人は俳優は彫りが深い人ばかりということなのだと理解。北村一輝が登場した時は、ああ、なるほどって理解。ここに平井堅もでてくるのかと期待してしまったけれど、流石にでてこなかった。主題歌を平井堅が担当していたら、含みがあって良かったかもと想像する。
・技術力の高さに驚き
ルシウスは現代の日本で見たものをコピーしただけと言って謙遜する。しかし、現代の日本で見たものをコピーできているということがすごい。まずは見たものをしっかりと吸収する観察力。銭湯のカゴを見て、脱いだ服を入れておくことを理解し、桶を見て個々に湯を流すことを理解。2度目の日本で個人宅の湯船を見て、いろんなことを理解していき、さらにそれをどのように実現しているのかを想像できるところがすごい。お湯を温めるために奴隷が何人いるのか、と想像してみたり、その狭い空間に奴隷がいるのかと考えを巡らせる。シャワーを作るために牛の腸を使うことを思いつたり、何よりも便座のウォッシャーを実現していたのが驚異的。
そう言った一つ一つをしっかりと再現していること、そのことがやはりすごい技術力だと思うし、自信に持っていい部分だろうって感じた。それとも古代ローマ人は新しいものはゼロから作り上げないといけないという発想があったのだろうか。何もローマ人に限った話ではないか。ゼロから作り上げることは、もちろんすごいことだと思うけれど、ルシウスの再現力の高さにはいろんな力が発揮されていて、十分に偉大だと感じた。
・真実とルシウスの今後はどうなる
ラテン語を学んでルシウスと会話ができるようになる真実。漫画家を目指しているけれど、認めてもらえる作品が書けずに冴えない生活をしていた彼女にとって、ルシウスの存在は相当、特殊なものだったのだと思う。ネタとしては十分な存在感だったのではなかろうか。そんなルシウスが現れては、何か風変わりな行動を起こして、姿を消す。
個人宅の浴室に現れては再び消える。さらには派遣の仕事中に現れては、トイレで消えていく。そして実家の温泉に現れて一緒にローマへと消えていくという展開は、漫画のネタとしては十分すぎるもの。真実はルシウスの存在をネタとして捉えていたのか、それとも好意を寄せていたのか。まずこの部分が疑問。決して、好きと言った系統の発言はなかっただけに、やはり単なる好奇心だったのか。しかし最後の終わり方を見ていると、一緒にいたかった感じが残る。さて、真相はいかに。ルシウスの方も感情を見せない。妻を寝取られてショックを受けていたから、真実に心動かされる展開になるのかと想像もしたけれど、そうはならなかった。意外と固い展開だったと思った。
コミカルと言えばコミカル。それ以上にローマ帝国に尽くすという姿勢を強く感じる作品だった。
鑑賞日:2021年7月3日
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それでは、また次回!
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