こんにちは、Dancing Shigekoです!
ガリレオシリーズの最新作(と言っても2年前に出版)を読んでみる。
今回は小説『透明な螺旋』を紹介します!
[基本情報]
著者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版年:2021年
ページ数:301ページ
[登場人物]
湯川学
帝都大学物理学科教授。警察の捜査を手伝うことがある。
草薙
警視庁刑事部捜査一課係長。湯川の大学での同期。
内海
警視庁刑事部捜査一課巡査。湯川との連絡役になっている。
島内園香
生花店で働く。同棲していた男性 上辻が失踪して以来、行方をくらます。
アサヒナナ
絵本作家。園香の母 千鶴子を可愛がってくれていた年配女性。
根岸秀美
銀座のクラブのオーナーママ。園香をクラブにスカウトする。
[内容]
島内園香の同居人 上辻が行方不明になった。園香が捜索願を出してから数日後、上辻は死体となって発見される。捜査本部は彼女に本人確認を頼もうとしたが園香も行方不明になる。彼女が事件に関わってると考え、身辺調査をして行くと二人の人物が浮かび上がってくる。
一人は園香が児童養護施設に住んでいた頃に親身になっていたアサヒナナと連絡をとったことがあると言う湯川のところに草薙がやってきて事件の概要を話す。
もう一人は生花店にやってきたと言うクラブのママ 根岸秀美。彼女は園香をスカウトしたくてお店に様子を見に行ったと言うのだったが…
[感想]
ガリレオシリーズ、行方不明の女性を捜索を中心とした作品。
・少ない登場人物の中から…
園香の同居人 上辻が行方不明になり、捜索が始まってしばらくして死体が見つかる。彼の関係者として出てくる人物、園香の関係者として登場する人物はあまり多くない。犯人はこの中の誰かなのだろうと、想像される。
この作品はその数少ない登場人物の誰が犯人か?を知ることよりも、この人たちがどんな関わっているのかと言う部分の描写が実に興味深く、最後までぐいぐいと惹きつけてくれる展開だった。
・はたして真相を知ったのは何人いたのか
特に後半になって湯川がそれぞれの人物と接触して、湯川が考えをそれとなく本人たちにぶつけて行く。その推理の後に、彼女たちのその時間までの流れが描写される。その描写が湯川の推理とドンピシャで重なる見せ方が面白い。
わずかな手がかりから、湯川が謎を紐解き、それを本人たちにだけ確認する。
結果的に事件の犯人は捕まるのだけど、その供述内容は湯川に話していたものとは大違い。
さらに最後にはトドメの心の内が描写されて、誰がどこまで真実を知ることができたのかと、分からなくなる。そしてその状態で彼女たちは一体どんな思いでその後を過ごしたのだろうかと想像を巡らせてしまう。
ある人物はずっと苦しい思いを抱えて過ごすことになったのでは?と思う結末だった。
・ガリレオシリーズと言うには
これまで主人公 湯川が登場する作品は何かしらの科学的な出来事が描写されるのが特徴だと思っていた。
ところが本作品は、そう言った実験を試してみて、どうやってその事件が起きたかを検証すると言ったことが行われずに事件が解決する。これまでにない展開。その展開だけを見ると、何もガリレオシリーズにする必要はなかったのでは?と感じる。どちらかといえば加賀恭一郎シリーズの方に相応しかったのではなかろうか?
そう言った設定にしなかったのは登場人物同士の関係を描く時に、一度使ってしまったネタが含まれていたからなのかなと想像。そしてその設定が個人的にはやや唐突って印象が残った。
事件の背後にある経緯の悲しさに苦しさが残る作品だった。
読了日:2024年1月15日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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