
こんにちは、Dancing Shigekoです!
本日も順番を変更して投稿。
今回は小説『スクープ』を紹介します!
[基本情報]
著者:今野敏
出版社:集英社文庫
出版年:2009年
ページ数:324ページ
[登場人物]
布施
TBNの遊軍記者。23:00からの『ニュース・イレブン』専属。
黒田
警視庁刑事部部長刑事。
鳩村
『ニュース・イレブン』の担当デスク。布施の上司。
香山
『ニュース・イレブン』の女性キャスター
鳥飼
『ニュース・イレブン』の男性キャスター
[内容]
全七章の一冊。
第一章 スクープ
布施はバーでひとりで飲んでいると俳優の友坂凉に誘われて、マンションでのパーティに連れて行かれた。そこでは麻薬を使われていた。
第二章 傷心 HEARTBREAK
東名用賀インターで女優の沢口麗子が事故死する。そのことで世間は悲しみにくれていたが、布施は違う視線で、事故を捉えていた。
第三章 遊軍記者
東都新聞の記者 持田が布施に接触してくる。彼は布施と同じ遊軍記者だという。
第四章 住専スキャンダル
元アイドルの栗原弘美が死亡した。ワイドショーではそのニュースでもちきりだった。布施はその死の真相が気になっていた。
第五章 役員狙撃
他局のやりすぎた報道で、TBNでも綱紀粛正の指示が出された。布施は身動きが取れなくなってしまっていた。そんな中、局にタレコミ情報が入る。
第六章 もてるやつ
女優の折原沙枝と俳優の朝霞勇次の婚約というビックカップルの誕生でワイドショーは賑わっていた。その隅でホステスの殺害事件が発生していた。布施はホステス殺人のニュースが気になっていた。
第七章 渋谷コネクション
布施の知人ジャーナリスト 間島がリンチにあった。布施は彼が何を追っていたかを聞き出し、同じように興味を持つのだった。
[感想]
スクープの裏に隠された記者の努力が伝わってくる1冊。
・遊軍記者という職業
布施はいつも夜遅くまで飲み、二日酔いで、かつ遅刻してくる。そのいく先々でお店の人や客と親しくなっていく。ただ遊んでいるだけのように見えて、実はいろんな人から話を聞き出す(?)。どちらかというと周りの人が勝手に話してくれる内容を聞いているうちに仮説が出来上がっていく。
さらにそう言った情報を持って、刑事と夜の飲み屋であって、話をする。そこで、新たな情報をえる。
と言った展開が中心。こういったスクープの裏でどんな人がどのような仕事をしているのかを考えたことがなかったので、非常に勉強になる一冊。
・遊んでいるだけに見えて人徳が高い布施
いつも一人で飲んで遊んでいるだけに見える布施。それでいていろんな話をきちんと聞いている。そう言った態度が周りの信用につながっていく。気づけば、周りが勝手にいろんな話を聞かせてくれるという形。
報道局の方では、つかんでいない情報をいつも持ってくる布施のことを、運のいい奴という。そのうち、運が尽きるに違いないと。こういう情報通の人はどこにでもいるもので、会社にもいる。そういう人の行動を見ていると、実にいろんな人と話をしている。
そして布施もいろんな人と話をしている。情報というのは、結局のところ、人が持っているものなのだと思う。そう言ったいろんな人と普通に会話ができる。それこそが布施の強みであり、そう言った信頼関係を作り上げていること自体が、成果なのだと思った。
周りから見たら遊んでいるようにしか見えない。その中に人脈を広げていく、情報源を増やしていく努力をしている。結構、かっこいい仕事の仕方と感じた。
・歌舞伎町、六本木、渋谷などを歩き回る
夜の歌舞伎町などで飲んで回る布施。たまに夜の街をぶらぶらと歩いている描写がある。そういう描写を読んでいると、シティハンターの冴羽リョウを連想させる。そう言った世界で活動している人がいて、芸能人や女優、俳優などもそう言ったところで活動しているものなのだと知る(実際がどうかはわからないけれど、多少は事実なのだと感じる)。
自分の知らない世界で活動している人たちの様子が知ることができて刺激になった。
・一番印象に残ったのは…
居酒屋「かめ吉」で黒田が飲んでいると、布施が近寄っていって話しかける。黒田はいつも煙たがりひとりで飲みてぇんだと追い払おうとするのに、布施がお構いなくで話をしていくと、黒田が興味を示していく。
そういう展開が多く登場する。テレビ局と警察が日常から繋がりがあるということに驚き。実際のところ、どうなのだろうか、と興味を持つ描写だった。
人脈は大切だと感じる一冊だった。
読了日:2022年1月18日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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