
こんにちは、Dancing Shigekoです!
たまには全く違うジャンルに挑戦。
今回は小説『むらさきのスカートの女』を紹介します!
[基本情報]
著者:今村夏子
出版社:朝日文庫
出版年:2022年
ページ数:211ページ
[登場人物]
権藤
本作品の主人公。ホテルで働く女性。チーフの一人。自称 黄色カーディガンの女。
日野まゆ子
むらさきのスカートの女。権藤のお気に入り。
[内容]
権藤はいつも商店街近くの公園で見かけるむらさきのスカートの女を観察するのが習慣だった。彼女がどんな行動をとっているのか、いつの日か声をかけようと思っていた。むらさきのスカートの女が就職活動をしているのを知り、自分の働くホテルに面接に来るように仕向けていた。
そしてむらさきのスカートの女が同じホテルで働き始める。彼女と話せるチャンスを狙っていたがなかなか話しかけられずにいた。やがてむらさきのスカートの女は仕事を覚えて、清掃員としてホテルのワンフロアを任されるようになる。
仕事に慣れてきたむらさきのスカートの女は、徐々に最初の頃のおとなしい感じから様子が変わり所長とも交際をするようになるのだった。
[感想]
むらさきのスカートの女に興味を示した黄色いカーディガンの女を描く作品。
・おとなしい第一印象
むらさきのスカートの女。いつも公園のベンチに座っている。定位置に座っている彼女をずっとみている黄色いカーディガンの女。これはストーカーの物語なのか?掴みどころがないまま、進んでいく物語。
仕事を探しているむらさきのスカートの女が自分の働いているホテルで働けるようにアシストして、面接にやってくる彼女。無事採用されて、仕事始めの日。みんなの前での挨拶は今にも消えてしまいそうなか細い声。
こんなので仕事が続くのか?と思っていたのだけれど、挨拶の仕方を練習した後あたりから気持ちキャラが変わっていく。スパイファミリーのヨルに似た感じを受ける。
しかし違った・・
・豹変していった彼女
訓練が終わって、一フロア任されるようになってテキパキと仕事をこなしていく。最初の頃は、仕事の覚えが早く、手際良く仕事をしているという印象。みんなからの噂もいいものばかりだった。
ところがある頃から所長と浮気をしているという噂が広まり始める。それ以降、悪い噂ばかりになっていく。最終的には・・
という展開があまりにも意外。それに結局、何を描きたかったのか、と分からずじまい。黄色いカーディガンの女がストーカーだったことを描きたかったのか?彼女がむらさきのスカートの女を見ているように、描いていたけれど、実は同一人物だったのか、など疑問が残った。
・客室清掃員の仕事とは?
ところで、ホテルの客室清掃員の仕事というのはどんなものなのか。この作品は清掃員の仕事の様子を断片的に描いている。ただそこから伝わってくる内容は、備品を自分たちのいいように持って帰っている。客が残した食事を食べあさっている、などあまりいいイメージがない描写。
それに日中は外に出歩く余裕がありそうな気配?というよりも仕事が終わるのが早そうな感じ。
興味深かったのは、担当するフロア、働いているホテルによっては有名人と廊下ですれ違うことがあるという部分か。そういった楽しみもあるのか、と新たな発見もあった。ホテルで働く人と仲良かったら、誰がどこに泊まっている、というのもそれとなく知ることができるのかも、などと考えてしまう。
出張で海外のホテルに泊まることのある自分にとって、清掃員を見る目が少しばかり変わる作品だった。
結局、むらさきのスカートの女はどうなったのか、謎残る作品だった。
読了日:2024年6月8日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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